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“DOG BEHAVIORIST(ドッグビヘイビアリスト)”?

(小難しいのはあとで読みたい..まずは例題から知りたい!という方は↓に例題を用意しているのでそちらから読んでみてください☺)

Behavioristービヘイビアリストーは行動主義者と訳されます。

その行動主義といわれるものはいくつかありますが、端的には行動の科学の“哲学的背景” であるといわれます。​

“行動主義”というと、少々とっつきにくいかと思いますが例えば、「あなたは楽観主義だね」とか、「あの国は資本主義だから」といったように使用されるのと大きくは変わらず、“主義”とは字のごとく、それの主となる性質や立場、姿勢、生き方、ときには大義名分を表すものともいえるかもしれません。

行動主義は、「行動の原因は意識ではなく、意識も行動そのものである。真の原因は、その行動が環境に上手く作用することである。上手く作用したならば、また起こるだろう」端的にいえば、このような理論(行動のルール)のもと、 “予測と制御” を最大の目標に、社会に役立てる姿勢を表した、行動科学としての哲学的背景、といったものと解釈しております。

(初めは、少し厳密な表現が多かったので「なにがなんだか」だと思います。ここからは少しでもわかりやすくお話できるように書いてみます。後ほど、“犬とのよくあるケース” を用いて、一般と行動主義との考え方の比較をしてみますので、最後まであきらめずに読んでいただけると幸いです)

​​​

さて、私が名乗っている“ドッグビヘイビアリスト” という語は、造語でありますが

私は普段から、上述した行動主義という哲学的姿勢を日常の生活や、犬の飼い主さんを対象に実践、対人支援活動をする者であることから、“ドッグビヘイビアリスト”  と名乗っております(認定機関で一定の過程を修了したJDBA​​認定ドッグビヘイビアリスト)。

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元来の  “ビヘイビアリスト(行動主義者)”という語については、心理学辞典にも載っている正式な学術的な用語です。初めてビヘイビアリストと呼ばれた人については100年以上も遡るお話で、長い歴史的背景があります。

心理学が誕生した18世紀後半、“なにが人間をそのようにさせるのか”という行動の原因への疑問に、当時は「その当人の “こころ” が原因の重要な部分である」という  “精神” を解明することに関心があったようです。その当人がどのように思い、どのように言うのか、というその個人の意識の経験を報告することで、心の働きを明らかにしようとした “内観法(内省)”を扱い、意識や意思という心的過程を研究しようとしました。このような精神分析は、その歴史から100年以上たった現在でも未だに根強いのではないでしょうか。(ある人物が犯罪など社会的に認められないような行為をしたとき、最終的にはその当人が “どのような動機があって犯行に至ったか” などが重要なことで、当人の考えや思いなどを知ろうとする傾向が強い)

しかし、いくら本人がそう言ったとはいえ、実態のないこころの報告は客観的でないため「行動の説明(原因)にはならんだろう!」と初期のビヘイビアリストとされる人物(上記写真右の心理学者)は当時の最大勢力の心理学派に対してのアンチテーゼとして、それを科学と認めない姿勢をとりました。これが行動主義の誕生ともいえます。

なぜ、卵焼きは焦げたのか。

火が強かったのか?あるいは砂糖がたくさん入っていたから?

唐突ですが、これら(原因)を確かめる時、火の調整か砂糖の量という要因でありそうなことを調整することで、上手く焼けるのか焦げるかについて、誰でも確かめること(再現や操作)が出来ます。つまりは科学的であるとはそういうことであり、生物の行動も同様に、そのような原理原則のもと厳密に扱われなければならない、と言ったのです。

ドッグビヘイビアリストの行動の捉え方の特長は、この卵焼き実験に近いといっても過言ではありません。

行動と環境” との関係を重要視します。またなにやら出てきましたね。では行動と環境とは何を指しているのでしょうか?

どのような状況でどのような行動をしていて行動の結果なにが起こっているか、これが  “行動と環境” という意味で、赤字緑字の部分が  “環境” ということになります。

そしてその環境が行動に影響を与える(原因である)します。その物理的な環境としての出来事は、火加減を変え、砂糖の量を変えると仕上がりを変えられるように、その環境を変えたら行動も変わるのではないか、というものです。

※色分けしている三つの項は、状況行動結果と表され専門的には  [三項随伴性さんこうずいはんせい] とよぶもので、後ほどの例題にも活用しますので少し覚えてみてくださいね。✌

行動の前にどのような心境、感情、内的状態であったかは実はあまり重要ではなく、

もし、その状況をビデオで撮っていれば誰が見ても同様に確認できる出来事、行動に注目して、分析、介入のご提案をさせていただくのが行動主義の特長であり、私ドッグビヘイビアリストも然り、そのようにして飼い主さま支援、犬のよき理解者になるべく尽力するもの

であります。

​​​

このような行動の扱い方は心理学分野の一つの学派「行動分析学」という学問領域で説明されます。心理学というと、“こころ” や目に見えないものを特に取り扱っていそうなものですが、そういった意味で行動分析学は「異端児」といわれることもしばしば。

​​

しかし実はというと、応用分野では圧倒的なパワーで活躍している学問でもあります。

近頃よく耳にするようになった(多動性)発達障害や、自閉スペクトラム症、強度行動障害への行動療法、定型発達の子供の困った行動への介入、イルカ、馬、ネコ、イヌ動物の行動における行動変容アプローチとして、大きく成果をあげています。また、学校など教育者への導入、会社組織の行動マネジメント(人材育成)、スポーツにおけるコーチング技術、など世の中の人々の“行動”について、役立つ学問としても知られます。上述したように実はこの学問、イヌのトレーニングにも非常に密接であります。

​​

ではここで一つ、ビヘイビアリストと一般の、行動の捉え方の違いを分かりやすく例でみてみましょう。(例題のストーリーの中でどれが状況行動結果になるか、色分けしてみます)

例題は「お散歩後の足ふき​」という状況です。

例  飼い主さん)

ーー犬と散歩から帰ってきて、足を拭こうとしたら咬まれます。以前トレーナーさんにみてもらったら  “柴犬だからね” や、 “我が強い” といわれました。とにかく我慢が出来ず “イライラすると”すぐに怒るんです(咬む)。どうしたらいいでしょうか。

とのことです。

毎日のルーチンなので、大変お困りになっている様子です。

では次に、ドッグビヘイビアリストはその様子を動画で見せてもらって、以下のように考えました。

例)ビヘイビアリストの頭の中

「まずは全体像をみてみようかな。

“玄関に着き、飼い主さんが濡れタオルをもって犬に近づいたら離れた(逃げた)ので濡れタオルを持った飼い主さんから一時的に離れることができた。そして隅に逃げた犬に、飼い主さんが近づくにつれて硬直、顔の緊張が見られたぞ。その状況でいよいよ足に手が近づいた途端唸った!飼い主さんは唸りに怯んで一瞬だけ立ち止まるが、唸っている最中に更に手を近づけて、足に手が触れた瞬間に、咬んだ!痛っ!」と手を引っ込めた” 

 

ほぉ、なるほど。

唸ることや、咬むことで嫌なことや出来事が延期されているのか。「やめろよ!」って主張することで、少しの間ではあるけれど足ふきという事態から逃れることができているんだな。

じゃあ、こうしてみよう。

【方法】

タオルを持って、唸りがでない位置まで近づいて、触らずに、犬の好きなものを🍖を与えてみるところからやってみっかな..?

​​

​いかがだったでしょうか。​​

まだ、状況行動結果​から行動の働きをみる、というのは少し難しいかもしれませんが、私が注目してほしいポイントは、飼い主さんと私の文章の中の、 “” 内に書かれている部分。どのような違いがあるでしょうか

飼い主さんがお話していたトレーナーさんの表現と飼い主さんの表現では、

“気が強いから” “〇〇犬だから” “イライラすると” といった部分が、行動の原因として用いられていることがわかります。

一方で私ドッグビヘイビアリスト、後者の分析では、その“咬む”という行動が起こる状況を細かく洗い出しています。そして、行動直前直後に何が起きているのか、がはっきりと示されています。

全体像を把握した後には、“行動のはたらき” を知りたいので、

足に手が触れている→咬む→足に手が触れていない

足に手が近づいている→唸る→足に手が近づいていない

 

こんな風にも記述することが可能です。全体像ではないいため、非常にシンプルな記述になりますが実はこれで行動のはたらき(機能)が見えてきます。

なぜこんな変わった記述の仕方をするかというのは、他にも専門知識の理解が少々必要になるので割愛させていただきますが...

つまるところ、こういうことです。

手が接近してきた、または触れた時に咬むと直後には手が遠ざかった。

行動前の状況(環境)行動行動後の状況(環境)とシンプルに三つに分けられていて

 

上記の一連の状況で現在もその行動が継続されているならば、“唸る、咬む”という行動は逃避と回避、という機能(役割あるいは、はたらき)をもっていて、十分に行動が繰り返されるように役に立っている。という分析をすることができます。

その出来事(足ふき)は今、犬にとって “嫌なこと” なのかもしれませんね。

​​つまりは原因の分析をするにあたり、犬種、性格、その時の気持ちや感情状態、などは一切含まれないことが大きな注目ポイントです。(※嫌なこと、と表現していますがそれは結果からの推測したに過ぎず、嫌であることが原因。と表現しているわけではありません)

​​

一般にはその動物の行動の原因は、「~と思ったから~した」というように身体の内側で起こること(意識、思考) でなんらかのこころの動きがあって行動したのだ!といわれます。一方でこの学問では、行動の環境が変化したことに注目すべきである、と考えます。犬であれば、その犬がどのように思っているか、犬種は何か、性格はどうか、ではなく

犬の周りで実際に何が起こったのか、に注目します。それはビデオで撮影していれば実際に目で確認することのできる行動や、出来事であり、目で確認できることであれば、操作(介入)することを可能にします。

ですから、私たちがクライアント様からお悩みを受けた場合、質問の仕方はこうです。

 

「犬が噛む直前の状況はどのようなときですか、なにをしたらそうなりますか」

「犬が吠える場合、吠える前の状況と吠えた後の状況を詳しく教えていただけますか」あるいは「動画を見せていただけますか」 とお聞きするでしょう。

統計的、あるいは我々の経験的推測で平均的に「〇〇ですね」「こういう問題はこうです」のようにはお答えしません。必ずその犬ごとの専門的な分析が必要ということです。

ある犬の環境は、細かく見ればそれぞれ必ず違うはずで、違った原因があるかもしれません。加えて「普段どういう性格の子ですか。気が強いですか。甘やかしていますか」といったような犬の性格や気質などを伺って、それが直接的に原因の分析に役に立つかというと、ほとんどNOです。

明確に起こった行動と、行動に関わっている明確な環境の変化(飼い主さまの動きも含め)を知ることがとても重要です。

このように “行動と環境” はもちつもたれつの関係で、密接に影響し合っていることが段々と見えてきましたでしょうか。これは学問の実験研究によって裏付けられていることです。

行動分析学のわかりやすい特徴としては、犬の行動の原因を、犬の心の働きのせいにせず、犬種のせいにせず、人の(飼い主さま)のせいにもしない。といってよいでしょう。

例:「この子は今こう思っています」「この子はこういうタイプ、性格ですね」「飼い主さんの意思、態度がしっかりしないと..」などこのような行動の説明は、行動分析家(ビヘイビアリスト)では認められません。人も犬も、互いが影響し合っており、互いが “環境” なのです。その相互作用で行動が作られ、強められ、弱められる、というように捉えます。

このようなある種信念をもって仕事をしているのが、ビヘイビアリストの大きな特徴といえるでしょう。

 

犬という動物を相手にするため、犬とはどのような動物で、犬にとっての“普通の行動(望ましく犬らしい)”とはなにか、どのような生活を送ることが出来れば快適であるか、というような動物行動学、動物福祉学の視点も忘れることはありません。必要であれば環境を整備していくようアドバイスをさせていただきます。

 

飼い主様には、行動科学に対する理解を深めていただき一緒に取り組んでいく姿勢を持ちます。普段愛犬と暮らしている飼い主さまこそが、おおきな環境要因であり、唯一の救世主なのです。

また“ドッグビヘイビアリスト”という称号は、英語圏、またはEU諸国では獣医師や専門家の間でも比較的広く認知されている立場を取っていますが、これらは法律によって管理された国家資格ではありません。したがって法律上では誰でも名乗ることが可能です。もし、重度の問題行動(分離不安症,騒音恐怖症,攻撃行動,自傷行動など)にお悩みで専門家に依頼される場合は下記を確認されることをおすすめします。ドッグビヘイビアリストであれば、ホームページなどで認定の有無や、どのように行動について学び、述べているかが確認できれば望ましいでしょう。獣医さんであれば米国獣医行動学専門医(Diplomate, American College of  Veterinary Behaviorist)、獣医行動診療科認定医の方にご相談されることをお勧めいたします。通常は、獣医さんは“獣医”であり行動を専門にしていません。もし医学的問題と併せて、“行動”についてもご相談される場合には上記のような獣医さんが望ましいでしょう。

当方は下記ドッグビヘイビヘイビアリスト養成機関にて課程を修了、認定を受けたドッグビヘイビアリスト,ドッグトレーナーです。

・DBCA(Dog Behaviour Counseling Association-犬の行動心理カウンセリング協会-)

・JDBA(Japan Dog Behaviourist Association-日本ドッグビへイビアリスト協会-)

※DBCAは国内で唯一、英国最大級の動物通信教育機関である「compass」の教材を採用している養成機関です。

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